良い文章を書くための処方箋③
今回のブログではあなたの文章が最後まで読まれるために、読み手に与えるストレスを減らす方法について書いていきます。
前回のブログでの例え話を引用するならば、今回はネックレスや指輪などのアクセサリーをつけて、相手に与える印象をより良いものにしましょう!
今回は先に要点をお伝えしておきます。
・文章は簡潔に
・係り受けを適切に使う
・文と文のまとめ方
・主語と述語の適切な関係
・あなたの文章に自信を持つ
以上の5つのポイントを押さえて、より良い文章へとブラッシュアップしていきましょう。
文章は簡潔に
簡潔にするということは、一文や文章全体が短ければ短いほど良いという意味ではありません。目指すゴールは「良い文章」を作ることです。読み返した文章に長々とした言い回しや表現があるならどんどん削りましょう。そんな文章は無かったよという方も、もっと簡潔で分かりやすい文章にするために「書かなくても通じる言葉」を削っていきます。
【接続詞】
接続詞は便利です。便利さに甘えて多用していることもしばしば。執筆中や読み返しのときに、接続詞を発見したら「なくても通じるのでは?」と接続詞の必要性を疑ってください。もし接続詞を削っても意味が通じるのなら、それは必要ないので削っても問題ありません。
接続詞の多用は好ましくないですが、誤用はアウトです。もちろん誤用は接続詞だけに限りませんが、意味を理解して正しく使いましょう。
【重複】
重複については一つ前の「良い文章を書くための処方箋②」で詳しく書きました。重複を発見したら修正しましょう。
【~という】
接続詞と同様「~という」という言葉も多用しがちです。今私も使ってしまいました。
「アリクイという動物は、アリを食べることからその名をつけられた。」
「アリクイはアリを食べることからその名をつけられた。」
アリクイが動物であることはおそらく大半の人が知っていますし、文脈からアリクイが動物であることは推測できるので思い切って削りましょう。
【代名詞】
彼女、彼、彼らといった代名詞は、省略しても通じることが少なくありません。これも前回のブログでちらっとお話したのですが、日本語は主語を省略しても意味が通じます。
接続詞と同じように代名詞がなくても意味が通じるのであれば削りましょう。もし代名詞を削ることによって、文章の構造の崩壊や意味の混乱が生じるなら削ってはいけません。
【修飾語】
修飾語は文章の表現を豊かにしてくれますが、似たような形容詞や副詞を使っているのならこれも削りましょう。
例えば「幸せ」と「ハッピー」、「陽気」と「ハイテンション」、「美しい」と「綺麗」などがあります。美しくて綺麗な山は、美しい山です。くどくならないために、必要以上の修飾語の使用は控えましょう。
【~など】
「など」を使いたくなる気持ちは分かります。ですが「~など」や「~ら」、「~といった」などの言葉は、文章をぽやっとさせてしまうおそれがあります。(また使ってしまいました)
すべて削り切るのは難しくても、接続詞や代名詞のように、なくても問題ないなら削っていきましょう。
係り受けを適切に使う
係り受けとは、主語と述語、修飾語と被修飾語のように、係る語句と受ける語句が意味の上で結びついている状態のことをいいます。
「先生は中にたくさん光る砂のつぶのはいった大きな両面の凸レンズを指しました。」
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」の一節です。この文の中にも、係り受けの関係になっている語句はいくつもあります。
【「主語」→「述語」の係り受け】
「先生は」→「指しました」
【「修飾語」→「被修飾語」の係り受け】
「中に」→「はいった」
「たくさん」→「光る」
「砂の」→「粒」
「大きな」→「凸レンズ」
「両面の」→「凸レンズ」
一つの文章を語句ごとで切り分け、主語と述語や修飾する語句と修飾される語句のペアにまとめることができます。
この係り受けが複雑すぎたり、係り受けのペアが離れすぎたりすると、文章の理解が難しくなります。複雑な係り受けは分割してシンプルに、離れすぎた係り受けは近づけて読みやすい文章にしていきましょう。
文と文のまとめ方
これまで削ることを推奨してきましたが、まとめた方が分かりやすい場合もあります。文と文をまとめる際のポイントを押さえて、スッキリまとまった文章を作りましょう。
【おまとめ動詞】
「公園でお茶とおにぎりを食べた。」
お茶は食べ物ではありません。お茶を飲んでおにぎりを食べたのだな、と意味は通じますが、ここは横着せずにお茶に呼応する「飲む」という動詞を使いましょう。
【列挙】
具体例をあげるときに、いくつかの単語を使うことがあります。そこで注意することは、単語の性質を合わせることです。
「トイプードルと黄色のどっちが好き?」
と聞かれても、比較対象の性質が異なるので答えようがありません。黄色という犬の種類がいるのなら話は別ですが。いくつかの単語を列挙する際は、列挙する単語の性質を合わせましょう。
【&の位置】
単語を列挙する際に気をつけるのが、&の意味を持つ「と」や「や」の助詞の位置です。
例文のように最初の単語のあとに助詞を置いて列挙させることで、スッキリ読みやすい文章になります。2つ目以降の単語には読点で区切りを入れましょう。
【~たり、~たり】
「映画館での楽しみは、ポップコーンを食べたりジュースを飲んだりすることだ。」
この「~たり」は並列の「たり」です。動作や状態を列挙する使い方をする際は「たり」を繰り返して使います。読み返しのときに「たり」を見つけたら、その後に続く動詞に「たり」がついているか要チェックです。
主語と述語を適切な関係に
【能動態と受動態】
「~する」能動態と、「~される」受動態をしっかり意識して文章を書いていますか。
「毎年2月になると、催物会場にはたくさんのチョコが販売している。」
販売しているのは人です。店員さんです。上の例文は能動態になってしまっていますが、チョコは販売されるものなので受動態に書き直しましょう。
主語が人や生き物でない場合はほぼ受動態になります。主語が述語をするのか、されるのかを明確にし、正しい表現をしましょう。
【主語と述語がかみ合っているか】
「私の長所は、冷静に物事を判断できることです。」
「このプロジェクトで重要な点は、メンバー全員が一致団結することです。」
例文のように主語が性質を問うてたり、述語に名詞を求めたりするときは、述語を名詞化します。
あなたの文章に自信を持つ
何事も慣れるまでの期間は自信がありません。しかし自信の無さは読み手に伝わってしまいます。自信の無い文章は説得力や信ぴょう性が欠けます。
百聞は一見に如かずといいますが、記事に書くことすべてを自分の目で見て耳で聞くことはとても難しいことです。東京タワーの高さは333mですが、東京タワーの高さを実際に測ったことがある人はどのくらいいるでしょうか。
東京タワーの高さが333mだということは、東京タワーの公式サイトで公表されています。公式に発表された情報やきちんと裏の取れた情報であれば、伝聞調でなく思い切って断定的に表現しましょう。「~らしい」「と思われる」のような伝聞調の表現は、文章の自信の無さを助長させます。
今回のブログの内容は以上です。文中の言葉や接続詞の使い方を見直し、あなたが書いた文章はとてもスッキリしたものになりました。読み手に与えるストレスも減ったと思います。
次回は品の良さが出るような文章の書き方のポイントをお伝えします。良い文章へとブラッシュアップするために一緒に頑張りましょう!このブログももう少しお付き合いくださいね!